難病と告知された日の夜 ①

本日は入院9日目

『 病名が判明したあとのこと 』について書こうと思います。

 

 

 

2021年

5月27日(木曜日)  入院9日目

19時過ぎ

 

主治医の先生からの説明が終わり、旦那さんは病院をあとにしました。

 

 

 

わたくしはひとりで病室に戻るとベッドサイドテーブルには、既に給食が置いてありました。

 

 

これから、いつもより遅い夜ごはんを頂きます。

 

 

ぐちゃぐちゃな感情を抱えたまま、無表情で給食のふたを取る。

 

 

こんな日に限ってメニューは

『 すき焼き 』

 

 

( えっ? なに? すき焼きって。)

( 何か、おめでたいことでもあった? )

( もういったい、何なん? )

( あぁ、逆に私を励ましてくれる的な? )

( 何で、こんな日にすき焼き・・・ )

 

 

いつもなら、家族みんなで楽しく囲むはずのすき焼き。

 

 

でも、今は、ちょっとだけ冷めたすき焼きを病院の個室でたったひとりで食べる。

 

 

ひとりぼっちで食べる。

 

 

早く食べないと病棟スタッフさんに迷惑かけちゃうもんな、急がないと。

 

 

よく噛んでとか、味わってとか、そんなんじゃないもんね。

 

 

とりあえず、口に放り込まないと。

 

 

御膳が片付かないもんね。

 

 

なんだろう、ちょっとだけ泣けちゃうな。

 

 

この気持ちなんだろう。

 

 

私、泣いてる?

 

 

 

 

旦那さんにも

主治医の先生にも

看護師さんにも

ほかの誰にも

絶対に、絶対に見られたくない。

 

 

こんな泣いてる顔なんか、絶対に見せたくない。

 

 

 

ベッドサイドに置いていたティッシュペーパーを少し乱暴に取って、無言のまま、涙を拭いた。

 

 

( よしっ。)

 

 

 

 

 

 

19時33分

いつもは絶対に撮らない病院の食事の写真。

だけど、自分でもなぜか理由はわからないが、

この日、すき焼きの写真を撮り、家族あてに送信していた。

 

 

写真一枚と一言だけ。

 

 

『 今日はすき焼きだ 』

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娘から『 すごい 』と返事が来た。

 

 

そう。

『 すき焼きはすごい 』らしい。

『 すき焼きはすごい 』のだ。

 

 

再び、スマホをベッドに置き、ひとりで夜ごはんを食べる。

 

 

すき焼きを食べるんだ。

 

 

 

 

今回はこのへんでおしまい。

また、あとで続きを書こうと思います。